それからしばらくその土地のことを考えていた。大きな蛇とその気配の真横で行われている生活のこと、亡霊のような住人たちのこと、真っ直ぐな道のこと。また何度か訪れては写真を撮った。住人たちは想像よりも遮音壁の中と外を自由に行き来していたし、夏に向かうにしたがって壁沿いの植物たちは壁に大きく這って自分たちの都合のいいように光合成をしている。あの家には別の友人が住み始めたり、工事が始まったり、穴が空いたり、人が訪れたり、雑誌が印刷される拠点になったり、そうして今年の春には家も完成したりした。
土地全体が毎日少しづつ外からやってきた外来種と混ざりあっていく過程を見ているようだった。抵抗して、変遷して、移動して、取り込んで、荒地のような、手入れされた庭のような、ときおり明るい場所なのかもしれないなと思う。